クラシック音楽、歴史上作曲家アーティスト別
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ドニゼッティ ランメルモールのルチア セラフィン フィレンツェ5月音楽祭管

■ドニゼッティ ランメルモールのルチア

カラス(ルチア)
ステファノ(エドガルド)
エンリーコ(ゴッビ)
アリエ(ライモンド)
ナターリ(アルトゥーロ)
カナーリ(アリーサ)
サリ(ノルマンノ)
フィレンツェ5月音楽祭合唱団

セラフィン フィレンツェ5月音楽祭管 53年

第1幕1  第1幕2  第1幕3  第1幕4  第1幕5  第1幕6
第1幕7  第1幕8  第1幕9  第1幕10  第1幕11  第1幕12

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第2幕1  第2幕2  第2幕3  第2幕4  第2幕5  第2幕6  第2幕7

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今世紀初頭、ミラノ・スカラ座でトスカニーニのアシスタントを務めたイタリアオペラ史上最高の巨匠トゥリオ・セラフィンによる本作は、彼が見いだし最高のプリマドンナに育てあげたギリシャ出身の名歌手マリア・カラス(本名:カロゲロプーロス)の美しい歌声にこそ捧げられたものだと言っていいだろう。カラスはこの時すでに29歳だったが、それ以前にイタリア・チェトラ・レーベルへ、椿姫とジョコンダを録音したのみで、EMIへの本作はまだ3作目にすぎなかった。歌唱というのは衰えゆく肉体を楽器として用いるので、カラスの歌唱力も年々衰えてゆく。(もちろん、このことと芸術性とは別である)しかし、この頃は最盛期頃にあたる年齢だったことで、彼女のレコーディングの歴史上、貴重な録音となった。カラスのドラマティックな声が一層艶やかに録られているのを聴くことができるからである。イタリアオペラは悲劇的な内容のものが多い。ヒロインは明るいより、陰のある方が重要なので、暗みの含んだ劇的な雰囲気の声を備えたカラスの歌唱は、このオペラの見せ場である狂乱の場の、美しくも悲しい歌を奏でるのに最良の楽器だったことになる。カラスがこのシーンの劇性をこれほどまでに表現し得たのは、彼女がギリシャ人であったことと関係があったかもしれない。ギリシャ演劇はヤペテ系演劇の発祥である。すり鉢型の客席の底に位置するオルケストラ(オーケストラの語源)で仮面を付けた俳優が演じるその舞台は非常に大げさな身振りや演出を特徴としているものだった。今日でもその伝統がギリシャ人の血にすり込まれているのではないかと感じられるのは、カラスとディミトリ・ミトロプーロスを聴いたときである。ミトロプーロスを聴くだけのために、まさにそれだけのために音響装置を誂える人もいる。ミトロプーロスの表現は、化けて何か出たような印象があるが、カラスにもそういう感じがないこともないようなイメージがある。ヨーロッパ演劇の古代の様式がこのような形で現代にも息づいているのを聴くのは良いものだ。良いものが時代を超えて残ってゆく1つの例である。