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エルガー 交響曲第1番 バルビローリ ハレ管

■エルガー 交響曲第1番

バルビローリ ハレ管 56年

第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章

英国音楽の表現者としてのバルビローリの存在は量りしれないものがある。特に愛情に満ちた作品が多いエルガーの作品を扱うために、その特質を本質的なところまで現実の空間に浮かびあがらせるためには、どうしてもバルビローリの棒が必要だったといっていいだろう。ワーグナー作品にとってのクナッパーツブッシュ、ベートーベンにとってのそれがフルトヴェングラーであったのと同様である。とはいえ、エルガーの作品からバルビローリが引き出す響きは、ドイツやフランス、他の諸国のものとは別世界といえる程、全く違う。同じ種類の楽器を使っているにもかかわらず。こういう理由から、特定の見地から見た英国音楽は傍流にすぎないと結論づけることは容易であるように思われる。しかし、その見方はすべてだろうか。バルビローリの父方はイタリア人で、父と祖父はミラノ・スカラ座のバイオリニストだった。しかし、彼は子供の時に家族と共にロンドンへ移住し、英国人としての気質を身につけた。そのような背景からバルビローリは、英国人でありながら、イタリアのカンテ(歌)の伝統は自分自身の血の中に息づいていると考えていた。そのようにして、ユダヤ音楽、ギリシャ舞台芸術といった源流が時代を遡って、イタリアを経由し、ついに英国にまでもたらされた見ることができる。バルビローリはキャリアの後半をイングランド北部マンチェスターで過ごし、ここで英国のオーケストラ、英国のエンジニアらとの長期にわたってセッションを繰り返してきたことによって、本物のブリティッシュ・サウンドを作りあげた。これは重要な点である。これまでにも英国のオーケストラとエンジニアの組み合わせなら普通にあったからである。それに英国の指揮者、作曲家が加わったことによって、そしてそのすべてが超一流であった時に、真に正統的な英国サウンドが具現された。 次は別の角度から見てみよう。ヨーロッパの音楽は、アメリカに渡ったことによって大きく変貌をとげた。その様々な流れの幾つかはジャンルとして確立されてゆき、これらが逆流して、全く新しいものとしてヨーロッパにもたらされた。その中で最も成功したのは、おそらくロックである。50年代のエルビス・プレスリーの音楽を聴いて影響を受けたイングランド北部の少年たちが結成した1組のロック・バンドは、"怪物"(バルビローリの言葉を借りれば)のように大きな存在感を持つようになっていった。ビートルズである。彼らの音楽に聴かれる英国サウンドは、彼らが登場したときにはすでに存在していた。そのことはバルビローリによる英国諸作を聴けば明らかである。このようにして、伝統の流れを見ていくのも興味深い。