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ベートーベン 交響曲第9番 フルトヴェングラー バイロイト祝祭管

■ベートーベン 交響曲第9番

フルトヴェングラー バイロイト祝祭管 51年

第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章

この歴史上、希有な演奏には興味深い宇野功芳氏のライナーノーツ がついており、これはこの演奏の真価を見事に言い得ている。フルトヴェングラーは、この作品を生涯に幾つも残しており、いずれもすばらしい演奏であるが、なぜこの録音だけが最高の評価を得るのだろうか。確かにフルトヴェングラー自身の同曲異盤と比較しても部分的にはもっと優れていると思えるものもあり、このことは優秀な奏者を集めているとはいえ一時の寄せ集めで組織され、なおかつ戦後最初の演奏だったバイロイト祝祭管弦楽団と、VPOやBPOのようにすでに一致したアンサンブルを備えているオーケストラとの差を考慮すれば、当然かもしれない。しかし宇野氏の言葉を借りれば「全体の深い感銘において」・・・ここがまさに他の演奏と本作を異ならせている理由と言えるだろう。それでも、この演奏の真価はすでに宇宙の彼方から聞こえてくるような冒頭のトレモロから巨大な第一主題が表れるに及んで十分に明らかである。もしここまで聴いてピンとこなかったら、たぶん最初に戻って神妙に聞き直した方が良い。この作業は特にクレンペラーのように素人は相手にしないと言わんばかりの無理解者を突き放すかのような演奏を初めて聴かれる方におかれては重要で、全体を7,8回通して聴くと急に目覚めてその内包するすばらしい表現に圧倒されるように感じるものだが、本作でも必要なら家で聴く分にはだれも知らない人は見ていないし積極的に聞き直したい。この第一楽章全体はほとんど気がつかない程、わずかにクレッシェンドしており、この独特の浮力によってさらに盛り上がってゆくための完璧な準備が整えられている。ここは宇宙の巨大さを表現している。第二楽章で駆けだしたら、第三楽章では天上の世界を行き交うことができる。この楽章は筆舌に尽くしがたい程、美しい。信じられない程、という言葉があるが、たぶんそれも考えない・・我を忘れていたのかもしれないと後で気がつくような、そういう演奏である。それで第四楽章の歓喜の意味するところがよくわかるのである。 以下はナチス時代の映像でフルトヴェングラー(42.4.19)とクナッパーツブッシュ(42か43年)の第四楽章を見ることができる。どちらもほぼ同時期のようで会場も恐らく同じ(旧ベルリン・フィルハーモニーホール)プロダクションもたぶんほとんど変わらないにもかかわらず、この作品に対する両巨匠の見方は違うのがわかる。両者ともナチスと敵対しながら最後までドイツに残り、両者並んでヒトラーからドイツ第一級の指揮者と見なされていた(このために生存できた)という共通点を考えれば、この演奏上の相違はある意味興味深いかもしれない。さらに3つ目の映像は、フルトヴェングラーによる50年頃のもので、いずれもなぜか最終部分が多いということで、当時の編集方針の影響か、事情の一端をかいま見ることができておもしろい。